診察空間をコンパクトに収めるためにはドクターの動きを綿密に知る必要がある。打合せ回数も重ねた。また、ドクターご自身に完成後の動きを確認してもらうために、着工前に診察スペースの仮組を行ってドクターと診察デスク周りのシュミレーションを行った。これは施工者が提案した既存改修の工期を短縮させるために、予め家具などを作り込み自家製プレファブを用意するという知恵に助けを得た。施工者がいつも使っている作業場に事前に作った家具を並べて部屋を作った。既存建物の資料に構造計算書が含まれていなかったことがあり、構造上の変更は困難であった。構造の変更を行わない改修方法で計画した。木造ツーバイフォー工法は電気配線の変更自由度が極めて低い。そのため計画は配線スペースの確保と合わせて目論まれている。
診察室。洗い場との間に曲面の大型収納壁を設えた。コンパクトだが空間に広がりが生まれる。
待合室から見た受付。間接照明としている。ショーケース、掲示板。マガジンラックなどを設けた。
既存の勾配天井面全体を反射板とする間接照明計画。壁と天井を曲面で一続きにして光を広げる。
待合室奥はキッズコーナー。杉板の床で靴を脱いで遊ぶ。院長も大好きな木のおもちゃ、brioの玩具に自然と子供が集まる。
中待合。待合室と対比的に、天井高を2.25mと下げて落ち着いた場所にした。
スギの木目が空間を柔らかくする。
点滴コーナー。
受付内部。PC本体は吊り棚で浮かせた。カウンター高さ1.05m。待合室側からはメラミンとスギで素材を変えて高さを感じさせないようにした。
ベビーチェア、ベビーシート、手洗い乾燥機を設備した多目的トイレ。
photos @yuji nakajima
早朝の待合室。混雑すると少し狭く感じられる。
診察の場と診療用具を洗う流し台はワンルームになっている。
小さな患者さんにお母さんが付き添うことも多い。ドクターの後ろには助手のクラークと呼ばれるスタッフが座っている。右の写真は診察デスク真横に続いていた診療用具の洗い場。左端に写っているのは同じクラーク。
診察終了時の写真。幼児用ネブライザーの場所も今回計画された。
通路脇に衝立で仕切られた点滴コーナー。
コンピューターなどの機器が床に置かれて手狭になっている。